[7/2]
Bolzano
ホテルはレノンの方に行く街道に近く、
部屋からも街道がみえるため夜中もバイクの音が鳴り響いて快眠出来たとは言えなかった。
しかし、空気はすがすがしくて夜に洗濯した物もすっかり渇いている。
気温ももちろん低い。
朝食のため降りていったが、どこで食べるかわからない。
聞いて見るとテーブル席どこでも良いらしい。
ボルツァーノでの朝食はイタリアとは打って変わって(国的にはイタリアだけど)、
パンとハムが主体。パンも黒パンだ。
ハイジに出てくるペーターのおばあさんが食べてたやつだ。
おばあさんは白いパンを食べたがってが、私は黒パンが気に入ってて、
明石のグロッケントルムで買った物を良く食べてたが本場物は初めて。
ハムも生ハム、サラミ、加熱ハム、チーズが皿に山盛り。
おかげで朝から満腹。
Oetzi

ソプラボルツァーノ経由でレノン峰巡りでもするかと思い、まずはホテル近くのケーブルカー乗り場へ。
しかし、自転車軍団が大量に乗車して乗れなさそうに…
そこで方針転換し、
アンドレアおすすめのカレッツァ湖[Lago di Carezza]などのドロミーティの行き方をドゥオーモ前の案内所で聞いた。

まずはボルツァーノ名物の氷河から発見された「Oetzi」(通称アイスマン)を見にアルト・アディジェ考古学博物館[Museo Archeologico dell'Alto Adige/Südtiroler Archäologiemuseum]へ。
入館料は€8。これが高いか安いかは内容次第という所。
博物館はイタリアにありがちな置きっぱなしというものではなく、内部は非常に新しい。
音声ガイドも有料ながらある。展示説明も詳しいが、イタリア語とドイツ語だけで英語はない。
イタリアの博物館は大抵はイタリア語の他にあると言えば英語の説明だけど、
ここは英語に替わってドイツ語になっている。イタリア語を解さないあっこはこれに困っている。
興味を示した部分は私が意訳することに。
展示の内容は12000年前の旧石器時代から順に西暦1000年の中世辺りまで展示されている。
問題の「氷から来た人[L'uomo venuto dal ghiaccio] Oetzi」は銅器時代のコーナーである。
「Oetzi」展示前では発見時の再現ビデオや、発掘の様子を映像で流しておりパネルも豊富。
問題の「Oetzi」は少し広い半円形の暗い部屋に置いてあって、並んで小人数づつ見るようになっている。
広くなってるのは順番待ち用の空間だろう。
幸いほとんど並ぶことなく見ることができたが、
子供用に昇降台が設置してあってこれを操作し出すと時間がかかることは間違い無い。
50cm四方ほどの小さな窓から見るようになっていて、保護のためか中も暗い。
展示ケースの中の壁は氷を積んだようなデザインなのか、
実際氷を積んでいるのかわからないが冷やしている様だ。
「Oetzi」は小さな褐色のミイラで、発見当時の状態ではなくほぼ裸である。
暗くてよくわからない感じだ。まあ、しっかり見るほどのものでも無い感じ。
Oetzi展示室を出ると、Oetziが生きていた頃の姿が人形で再現されている。
衣服や持ち物などは、現物と復元した物が並べてあってどのように使ったかがパネルで説明してある。
私のイタリア語レベルでは解読している暇があまり無いけど、
説明はあまり読まなくても、タイトルだけでも辞書で調べれば満足出来る。
もちろん、他の展示物も現物や復元、情景模型などがあって楽しめる。
パネルもイタリア語とドイツ語だけどしっかり書いてある。
そんなこんなで、ちょっと消化不良気味に博物館を後にして時間的に余裕が有るので、エルベ広場へ。
エルベ広場では屋台のお店が一杯出てて活況。
カラフルな手作りの飴を売っている所が有ったのでお土産用に購入。
さらに屋台のお店で白桃を購入。
カレッツァ湖

鉄道駅前の広場でカレッツァ湖方面への切符を購入。
と思うと€10と書いた切符というかカードを手渡される。
後でわかったことだけど、ボルツァーノの交通システムはプリペイド方式になっている模様。
114番のバスに乗ったら、二人分のカレッツァ湖まで料金を引いてもらうシステムのようだ。
バスは渓谷の上を進んで行く、両側が断崖絶壁でほとんど上が見えない。
もちろん下は川。しばらくこの景色が続くと開けてきて、両側が高い山になる。
遠くに灰色のドロミーティの山が見える。写真やテレビで何度も見た、あのギザギザの山。
家もスキーの山小屋のような感じの家が点在している。
しかし、どこで降りるかわからなかった。
時計は到着時間14:09を過ぎてたけど、
それっぽくない停留所を二つ三つ飛ばすと右側の林の奥に湖が見えた。
おそらくカレッツァ湖だろう。と言うわけで次のバス停であわてて降りた。
バス停前には駐車場があって、土産物屋が三軒んほどある。
これは後で見ることにして、さっそく湖に向かった。
湖へ降りる階段を降りると、柵がしてあって水には触れない。
水も少なくなってるのか柵よりはかなり遠い所にある。
しかし、背景には森の向うにラテマール山[Monte Latemar]がくっきりと見える。
見た限り1000ほどの断崖で、砂が落ちてるような感じ。
絶壁には穴があいていて窓の様に見える、うっすらと雲がかかっていて天空の城の様だ。
この景色が見える所で昼食。
ぼ〜っと、ラテマールを見てても飽きないけど湖を一周回ってみようということに。
歩き出すと、大量の日本人がこちらに向かってくる。
どうやらツアー客のようだ。結構穴場かと思っていたが、そうでもないらしい。
(帰国後、旅行代理店のパンフレットも見たら、イタリア旅行と言うよりアルプス観光で訪れる場所っぽい)
カレッツァ湖の隣には小さな池があって、キノコ型の岩がある。
満水時にはカレッツァ湖と一つになるのかもしれない。
入り口から反対側の道は林道のようになっていて、所々に木々の間から湖が見える場所がある。
こちらからは別の山が後ろにみえている(カティナッチョ?)。
前方を歩いていたイタリア人カップルに追いつくと、熱い抱擁中だった。
このあたりは涼しいし良かったね。
盛り上がったイタリア人カップルが山中に消えて行くのを横目にさらに歩いて行くと、
向こう側からは気付かなかったけど、
行程のちょうど中間あたりに大きな岩の上から湖を見るポイントがある。
ベンチなんかもあるけど犬連れのイタリア人家族が使ってたので、切り株に座って、桃を食べた。
残りの半周も所々湖が見える。
一周回って元の場所に戻ると階段をあがって道路を渡り駐車場のような場所へ。
土産物屋が3軒とトイレがあるが、バスや自動車、バイクなどですごい賑わい。
土産物屋に売られている謎の松ぼっくり人形やペナントをみながら、カレッツァ湖の写真を発見。
やはり、水はもっと多く柵の辺まで来ていることが判明。
最近雨は降ったけど、日照り続きだったから減ってたのかな。少し残念。
道路まで戻り最後に看板を見ると禁止事項が…、
「たき火」、「ピクニックとキャンプ」、「柵を越えて入る」、「桃」…
しまった、桃がピンポイントで禁止か!!
なんて、事は思うことなかったけどイタリア語で「Pesca」は同じ綴りで「桃」と「魚釣り」を指すので、
冗談であっこに告げただけ。
帰りのバスが17:39分でまだかなり時間が有るので、どう時間を潰そうかと言うことで悩んだ結果、
下のバス停である、Nova Levanteなら16:30のバスがあると言うことがわかったのでそこまで歩くことに。
付近の地図を写真にとっていざ出発。
道路沿いに、強い日差しだけど低い気温の中をあるく。多分25度以下だと思う。
空気が乾燥していて、それ以上に涼しい。汗が蒸発するからかな。
ずいぶん歩いたなと思った所でバス停発見。
これには時刻表もなく、次のバス停まで。
とにかく気候や景色はいいんだけど、車道を歩くのがかなり危険。
とはいえ、車道から離れるとバス道を失って帰れなくなる危険もあるので、車に気をつけながら歩く。
途中、おじさんを発見したので道を聞こうとしたけどイタリア語が通じず断念。
このあたりで森が終わって斜面に牧草?の景色が広がる。
ガソリンスタンドが有ったので近寄るとバス停発見。16:30を少し過ぎている。
ガソリンスタンドに付属するBARは閉まってたけど、外で休憩した。
そこで初めて、時刻表のバス停の名前についている「Alb.」がなんの略かわかった。
「Albergo」つまりホテルの略で、このバス停は「Alb. Sole」で、
目の前に有るホテルらしい建物「Sonne」の横に「Sole」と書いてるので気付いた…
ここでは、ホテルも二ヵ国語表示だ。
ここが、Nova Levanteでは無いこともわかったので、Nova Levanteまで歩いてみることに。
更に歩くとすぐに次のバス停が見つかった。ここがNova Levanteだろう。
さすがに一部のバスが終点にしているだけあってちょっと開けている。
閉まっていたけど小さなスーパーもある。あっこはさっき見つけた馬とロバを見ている。
その後バスの時間の17:50までBARで休憩した。
ソプラボルツァーノ

ボルツァーノに戻るとホテルの前のバス停で降りて、ロープウェイ[Funivia]に乗ることにした。
このロープウェイでソプラボルツァーノに昇ることができる。
19:00出発の便に乗るため、しばらく待つ。
朝、ここに来た時に買った切符が使えるかちょっと心配。朝、刻印をしてしまったから…
切符は無事(こっそり?)使えて、ロープウェイに乗った。
12分で向こう側に着くと言うから結構早いのでは?
昔イタリアであったロープウェイ事故を思い出しながら、落ちたら助からないなあという高さ。
逆に考えると絶景。下に見えるボルツァーノの街。
それを囲む山々と、ティロル風の家々。遠くに見えるラテマールやカティナッチョなどのドロミティの山。
ここまでで乗る価値あり。
着いたら着いたで別世界。
単線の小さな駅が有り、古い電車が止まっている。
駅の横のホテルで何かのパーティーをやってるらしく非常ににぎやか。
周りを見渡すとなにやらのどかな牧草地帯。
しばらくすると古い電車が動き出したが、電車の線路には踏切がなく鐘を鳴らすだけ。
その鐘でパーティーの人々は散らばって行き、急にあたりは静かに。
バス停のような駅には料金表がはってある。
どうやら、往復で€3.5だが、さらに料金を払う必要があるかよくわからないので、
ロープウェイの駅に居た、乗務員に聞いて見た。
すると、ロープウェイとは別に払う必要が有るらしい。
そして「でも、コッラルボまで行ったら帰ってこれないよ」と言う。
時刻表で見るかぎりは、いってすぐ帰りのに乗れば間に合うはず。違うのか?
尋ねてみると、「乗った電車で帰れば間に合うよ」との事。
と言うことで、そこに有った自販機で切符を購入(切符自体はロープウェイと同じ物)。
そして、刻印をした(電車の中ではなく駅で)。
電車はさっき出て行った物とは違う、オレンジ色のものが到着した。
これに乗り込んだら、地元の中学生らしい一団と、さっきのロープウェイの乗務員なども一緒になった。

運転手が乗りこむと、格納式の運転席を引き出して座った。
電車は牧草地帯を走り出し、森の中や池の側、ティロル風の家のそばなどを通る。
まるで、遊園地の子供の乗り物の様。
もちろん遊園地よりも景色が良くって、背景にはドロミティの山々が遠くに見える。
中学生途中の駅でどんどん減って行く。乗務員も「チャオ」なんかいいつつ別れの挨拶をしている。
そして電車はコッラルボの駅に到着した。
我々は、切符に刻印するだけで今来た電車に乗りこむ。
すると、運転手と二人の乗務員がコッラルボ駅を閉めだした。
なるほど、ロープウェイの乗務員もこのために来てるのか。妙に機能的である。
帰りの電車はほとんど他には乗っていなくて、さっきより寂しい。
ロープウェイの駅に着いたら、来た時の乗務員と一緒に乗り、ボルツァーノに戻った。
ボルツァーノ
イタリアの中でも高緯度とはいえ盆地であるボルツァーノは暗くなるのが早い。
ロープウェイの駅はホテルに近いので、一旦ホテルに戻って出直す。
ホテルも夕食を提供してるんだけど、
メニューがドイツ語で全く何の食べ物かわからないので高いのか安いのかわからない…
なので、今日も夕食を求めて街をうろつくことになったけど、今回も安く済ませたいこともあり、
値段表をチェックしながら歩いた。
昼に露店が出ていたエルベ広場あたりが安いのではないかと当たりをつけてそっち方面へ。
途中、バーニーズ・マウンテンドッグを散歩している一団に会ったので、
写真を撮らせてもらった。
さすがにエルベ広場にある店は他の地区より、安い様だ。
安そうな店があったので、看板を見るとドイツ語…
するとなぜか我々の付近を同じように夕食を求めてさまよっていたイタリア人男二人組が、
「お、裏はイタリア語だ」と言ったので、裏を見てここに決めた。
お店のおっちゃんに「表と中とどちらがいい?。中は空調完備」と言われたので、
中で食べたいことを伝えると案内されたのは地下。
それはいいけど、カードゲームに興じる初老の男性グループしかいない…
大丈夫か?と思ってメニューを頼むとおっちゃん曰く「わしがメニュー」。
パスタとサラダをひとり分を二つに分けてもらうことに。
その後、さっきのイタリア人男二人組も入店。
何となく店の雰囲気もあやし行きがするが、ドイツ系っぽいカメリエーレ(給仕)にドルチェも聞いて見る。
するとジェラートしかないそうな。
ジェラートなら駅の近くの店が何となく美味しそうだったのでそこで食べようと店を出た。
すると、店は二人しかいないっぽい。しかも値段もちゃんと二人でひとり分…ごめん、いい店だった。
帰りは駅前の公園っぽい所に面したジェラート専門店でジェラートを買う。なかなか美味しい。
そんな訳で、ボルツァーノの長い一日が終わった。
[7/3]
昨日の夜はバイクの音もなく静かだった。これだとまあいいかな。
朝食は昨日と若干ハムの種類が変わっただけで同じ感じ。
朝食を終えるとホテルを出る。支払いもバールのカウンターで…
そして、「ドイツ語でArrivederciはなんて言うんですか?」と聞いて、
「オーフ・〜(忘れた)」とドイツ語で出発の挨拶をした。
関連情報
- アルト・アディジェ考古学博物館
- 公式サイト
- ドロミーティ[Dolomiti]
- ドロミーティとはトレンティーノ=アルト・アディジェ州からヴェネト州にかけて連なるアルプス山脈の一部。
ドロミティとかドロミテとも書かれる。フランス人の科学者 De Dolomieuの名から名付けられている。
苦灰石または白雲石またはドロマイトと呼ばれる石で出来ている。
アルプス山脈の一部だけど、作りは違うらしい。
- カレッツァ湖[Lago di Carezza]
- エーガ谷にある湖。標高は1530m
- ソプラボルツァーノ[Sporabolzano]
- ドイツ語でOberbozen。コムーネはレノン[Renon]に属する。コムーネの中心はコッラルボ[Collalbo]。
レノン峰の写真サイト
- ボルツァーノの交通
-
SII
プリペイドカードのようなシステムを使うボルツァーノ県の交通システム。
詳しい形態はわからないが、FSでトレントまで行けたりする。
公式サイトには時刻表などがpdf形式で見ることができる。
- ロープウェイ事故
- 1998年2月3日、NATOのアヴィアーノ[Aviano]基地から飛び立った米軍機がカヴァレーゼ[Cavalese]
(トレント県)からチェルミス[Cermis]山を繋ぐロープウェイのケーブルを切断し、
20人が犠牲になった事故。事故を起こした飛行機はF16だと思っていたが、EA6Bの様だ。
事故現場は今回行ったカレッツァ湖とは結構近い。
イタリア
イタリア旅行
2005目次
09-08-2005 A cura di Ciro